福祉国家, 高齢化, 医療費, 年金, 社会保障

　福祉国家が陥ってしまう負のスパイラル

　福祉国家へと成長してきた先進国は、今、どの国も同じ問題を抱えている。
　高齢化で医療費と年金の支出がかさみ、税収だけではまかないきれないという深刻な問題だ。

　2010年春、ギリシャが財政政破綻の危機に陥ったが、同様のことが多くの先進国に待ち受けている。

　日本は、EU諸国の福祉国家を見習って、医療と福祉による手厚い保護を推進している。
　しかし、そのEU諸国で財政破綻する国が噴出すると、福祉国家への道を見直していく必要がでてくるだろう。
　実際、ポルトガルやスペイン、イタリアがギリシャと同じ運命をたどる可能性は大きい。

　EUもアメリカも、どの先進国も、財政赤字と公的債務に悩んでいる。
　失業保険や高齢者支援、医療費など膨大な社会保障制度による財政支出は、今後、ますます増えていくばかりだ。

　みな分かっていることなのに、改善していかないジレンマ

　どの国でも多くの人は、このままでは駄目だとわかっている。
　日本の場合、年間９０兆円の予算を組むが、そのうちの４５兆円は借金でまかなっている。
　そして、日本における借金は８８０兆円ある。
　総国民負担率は５０％以上で、国民の所得のうち５０％以上が公的負担に当てられている計算になる。
　こうした現状は、先進国の中でも危機的状況で、改善しないかぎり、日本の経済回復も見込めないだろう。

　しかし、一度膨らんだ社会保障を縮減するのは非常に難しく、どの国も同じジレンマに陥っているのだ。

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