マチクイの詩, ＭＪ, 都城総合文化ホール, 長崎, 佐世保

　

　

　今回は、ＭＪの松原さんにお話を聞いてきました。ＭＪでは、『マチクイの詩』という演劇を上演予定です。
　『マチクイの詩』を演ずるのは長崎の劇団です。長崎といえば、東洋と西洋の異国文化の入り口で栄えた一方で、原爆投下があったり、また政治的に混乱したりと、とにかくハラハラドキドキの多い街で、そうしたはじける感じが、今回の『マチクイの詩』でも感じられるようです。

記者「『マチクイの詩』の内容を簡単に教えて下さい。」

松原さん　「マチクイというのは、人間の体が木になる病気です。『マチクイ』に冒された人々が小さな島の中でどのように生きていくか、というのがテーマになっています。
　演ずるのは長崎・佐世保市に本拠地をおくF'sCompany（フーズ・カンパニー）です。今、九州で最も評判がある若手の劇団といっていいと思います。お手ごろな価格で本格的な演劇を見ることのできる絶好の機会ですので、是非観ていただきたいと思います。」

記者「けっこう、シリアスというか重たい印象がありますね。」

松原さん「長崎に生まれた作家の福田修志さんのお婆ちゃんが、被爆を経験していて、被爆３世の人たちが集まってつくっています。ですから、原爆や戦争が背景にあると思います。でも、内容は、原爆や戦争とは直接は関係なくて、とにかく人間と木（になった人）とのやりとりの生命あふれる作品になっているのが魅力です。」

記者「F'sCompany（フーズ・カンパニー）を知ったきっかけは何ですか。」

松原さん「今年２月に、『女の平和』という舞台が宮崎県立劇場でありました。これは九州各地から演劇家が集まってできた演劇なのですが、この作品にフーズカンパニーから二人出演していて、その後の打ち上げで、いつか都城でできたらいいねと話していたのが始まりです。そして、『マチクイの詩』はフーズ・カンパニーが一番自信を持っている作品ということで、この作品を選びました。すでに今年８月に東京で上演されています。」

記者「この演劇で感じて欲しいこととかありますか。」

松原さん
　 「長崎の佐世保市は、地方の小さな港町です。東京とか大きな都市ではなくて、地域にあっても良質な演劇ってできるんだということを感じてもらえたらと思います。」

記者「演劇のよさって何だと思いますか」

松原さん
　 「やはり、ライブ性でしょうか。自分の想像力を使って見るということだと思います。テレビだと顔のアップがあったり、セリフにテロップが入ったりしますよね。演劇は、自分で見る視点を決めなければなりません。それがいいと思います。」

　
　ＭＪでは『マチクイの詩』の台本の一部を読むこともできます。

記者「今、“体験する”ことの重要性がよく言われますね。」

松原さん
　 「ＭＪでも、体験することに力を入れていっています。今年は、「ソラ飛ぶ遊ビバ！」という子供向けの体験プログラムで劇団の方を講師に向かえて、絵を描いたり、仮面を作ったりしながら、表現や体験する場を設けています。」

記者「ＭＪでは、どんな一年でしたか。」

松原さん
　「不景気ということもあって、やはりお客さまの入場数は落ち込み傾向にあるのですが、こういう時だからこそ元気が出るような作品をお届けできたらと思います。厳しい環境というか、逆境というか、その中で芸術って力を発揮できると思います。」

記者「来年はどんな年になりそうですか？

松原さん
　「２月に “が～まるちょば”、３月には「50's Cafe」 でフォークライブがありますので、是非チェックしていただけたらと思います。それから、ＭＪ内から出て、活動することも考えています。今年は、サニーシーリングさんの工場にお邪魔して、見学したり、シールで作品を作ったりしました。また、ＭＪから遠い地域にある山田町や山之口町で、服部先生のコンサートを開催したりしました。アウトリーチといいますが、外へ届けようということをやっていきたいです。ほかには、学校に寄席（よせ）を持っていったり、５００円で聞けるヴァイオリンコンサートなどをしたので、そういった新しい試みをしていきたいです。」

記者「話は『マチクイの詩』に戻りますが、長崎は、演劇が盛んなのですか？」

松原さん
「長崎は、劇団の数は多いようです。でも、頻繁に活動しているところは少ないようです。ただ長崎では、演劇家を育てる講座が沢山あって、人が育っているというのはあると思います。長崎は、貿易の街で、中国の文化に加えて、オランダなど西洋の文化も入ってきた場所ですので、とにかく、ごちゃまぜの文化で明るいというか、きらびやかというか、表現が豊かというか、そういう所が『マチクイの詩』にも出ていると思います。それに原爆も落ちたところで、歴史的にハラハラドキドキが多かった街なんだと思います。なので、『マチクイの詩』にも生々しさがあって、生命力があふれていて、はじけている感じがあります。」

記者「それでは最後に、何かありましたらどうぞ。」

松原さん
　「『マチクイの詩』では、当日、午前10時から舞台裏見学ツアーを開催しています。公演の後には、劇団こふく劇場の永山さんのトークもあります。
　 こういう時だからこそ、元気を与えられるような作品を上演していきたいと思っています。是非、元気をもらいに足を運んで下さい。」

記者「今日はどうもありがとうございました。」

　

　『マチクイの詩』　F's Company
　2010年１月１１日
　13:30開場 14:00開演
　都城市総合文化ホール

　

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