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　人の歩んできた人生は、顔の表情となってあらわれる。悲しくつらいことが多く沈んだ毎日を送っていると、顔の表情もだんだんと悲しくつらい表情が形づくられてしまうし、人生を前向きに明るく生きていくと、それが表情となって形づくられてくる。自分に嘘をつかずに、まっすぐに生きてきた人は、その人の顔を見れば、すぐにわかるものだ。

　というような事を春日君は本で読んで、あらためて鏡で自分の顔を見てみた。

　春日君は、自分の顔を鏡でまじまじと見て、顔の左右で形が変わっていることに気がついた。春日君の右奥歯は、ひどく傷んでいて、春日君は左アゴでしかモノを噛まなくなっていた。そのおかげで、右のアゴを使わなかったために、右側の表情は元気がないのだった。

　春日君は、右アゴでもモノを噛むように心がけ、顔のバランスを整えたいと思った。そこで、右奥歯の治療をしてもらおうと歯医者に行こうかと思った。しかし、実は春日君は、歯医者が大の苦手だった。というのも、春日君は保育園のころから歯医者にかかっていたが、昔の歯医者は、とにかくドリルで歯に穴をあけて銀歯をつめたがったのだ。おかげで、春日君の口の中は銀歯だらけになった。春日君は、歯医者にいくと、さらに口の中が銀歯だらけになりそうで、疑心暗鬼でいる。

　春日君は、右側のアゴの筋肉をどうにか自分で復活させることはできないものかと考えてみた。そこで、春日君は四六時中、右奥歯でペンのキャップを噛んでおくことにした。別に、何か右側で食べる必要はなかったのだ。筋肉を鍛えてやる必要があるだけだった。

　春日君は、右側の奥歯に筋肉をつけて、表情を豊かにして、あと３歳は若返りたいと思っている。

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